相続 Q&A

相続について一般的なギモンやありがちな誤解を解説します

遺言書と遺産分割のQ&Aです。
不明な点はメール等でご質問ください。

Q 相続協議は一族全員顔を出した方が良いか

A 相続人でない人が口を出してきます

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相続では、いわゆる本家とか世話人とか、相続人以外の人が口を出してくることがあります。せっかく相続人の間で協議がまとまりかけたのに話が振り出しに戻る事も。
相続人が多い、相続財産の種類が多い、親族にうるさい人がいる、など揉める要素になる可能性があります。
そうは言っても今後のお付き合いを考えると無視もできません。
誰の話を聞いて誰の話を聞かないか、相続人の間で決めておくと良いと思います。
また、出来るだけ協議は全員顔を合わせないで、手紙や電話で進めるのも一つの手ではあります。

Q 子がいない場合、夫の財産は全部妻のものですよね? 

A 子がいない場合、夫の親や兄弟が相続人になります 

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子がいない夫婦では、配偶者と、故人の親(いなければ兄弟)が相続人になります。
親や兄弟が既に亡くなっていれば、祖父母や甥姪も相続人になりえます。
また故人に離婚経験があれば、前婚の際の子がいるかもしれません。
戸籍をたどって、相続人を探し出すことになります。

なお、子がいる夫婦でも、子が相続放棄をすると上記と同様なパターンになります。
負債過多で相続放棄をする場合などは、次順位の相続人に負債の相続が発生してしまうので注意しましょう。

Q:法律どおりに分配すれば揉めようがないですよね?

A:相続人の事情が絡む場合があります

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法定相続分でキッチリ分ければ問題ないはずですが、遺産分割の話し合いの場では、色々な感情、意見が発生します。
・跡継ぎが多くもらうべき
・介護した分、多くもらいたい
・生活費を仕送りしていたから多くもらえるよね
・ウチは子ども達も多いからお金が必要なの
・お前は親に迷惑をかけ通しだったじゃないか
などなど

進学費用や生活費用など、今まで親に出してもらったお金。
仕送りや介護に要した費用など、親に対して出したお金。
これに不公平感があれば、相続を機に解決したいと考えるのも当然でしょうし、特別受益や寄与分の考慮は法律上も定めがあります。

また、親の事業を継ぐかどうか、家屋敷やお墓の維持など将来にわたる出費も含めて様々な主張がなされます。
この様な面倒な話は、当事者同士が進めるよりも専門の第三者を間に入れた方がスムーズに行きます。
揉めた結果、相続人の一部が我慢する羽目にならないようにしてください。

なお遺言書があれば、相続人全員が心から満足するかどうかは断定出来ませんが、少なくとも協議や調整の負担はなくなりますので、「故人の遺志」に沿った形で財産分けをすることが出来ます。 

Q 相続手続きしなくても、時効で私のものですよね?

A 時効と相続は別の話です

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例えば自主占有開始後、20年経って時効取得したとしても、登記名義が自分になる訳ではありません。他者に所有権を主張するためには登記が必要であり、それには相続手続が必要になります。
時間が経過するに連れて相続手続は困難になります。
早めに手続きすることをお勧めします  

Q 遺産協議は相続人の過半数ですか?  

A 相続人全員の協議になります 

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遺産分割の話し合いには、相続人全員の同意が必要になります。
故人の戸籍をさかのぼって、前婚の子がいないか、知らない兄弟がいないか、探し出す必要があります。
相続人が遠方に住んでいれば集まるのにも一苦労ですし、探し出すまで協議は開始出来ません。遺産分割協議は時間がかかると割り切りましょう。

なお、令和3年度から、相続登記が義務化されました。→参照。

Q 土地の名義が故人のままでも特に問題はないのでは?

A 名義を変えておかないと売りにくくなります

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故人の名義の土地は原則、相続登記を経ないと売買による登記が出来ません。
よって売りにくい状態になります。
放置すればするほど、手続きは困難になります。
子孫のためにも早期に手続きしましょう。
なお、令和3年から、相続登記が義務化されています。  

Q 子が死亡した場合、親の相続手続きは不要ですか? 

A その場合でも、相続手続きをする必要があります

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子が死亡して相続人が親だけ、の場合でも、土地家屋、金融資産などの名義は自動的に変わりませんので相続手続が必要です。
小さい子どもさんの場合など、子ども名義の預金通帳など確認しましょう。
子が成長しており、配偶者や子がいる場合には、その配偶者と子が相続人になるので、親は相続人になりません。 

Q 養子が死亡した場合、実父母には相続権はありませんか? 

A 特別養子と普通養子で違います。

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特別養子の場合は実父母に相続権はありません。
普通養子の場合、養父母と実父母の全員が相続人になります。  

Q 連れ子にも相続権がありますか?

A 養子縁組をしていなければ、相続権はありません

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連れ子はあくまで「配偶者の子」であり、養子縁組しない限り相続人にはなりません。
養子縁組をしていれば、実子と同じですので相続権があります。(養子でない連れ子に財産を残すためには、遺言によって「遺贈」という方法をとる事が出来ます。)
なお、再婚後に生まれた子には当然相続権があります。 

Q 遺言書に指定されている遺言執行者を変更できますか?

A 相続人全員の同意の元、家庭裁判所に申し立てます

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 遺言執行者が仕事をしない、財産を使い込んだ、等の正当な事由があれば解任出来ます。そうでない限りは遺言者の意思が尊重される事になろうかと思います。 

Q 相続に関する業務の報酬が高い。安くならないものか。

A 専門家の報酬はやはり高額になります。

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高額なイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、仕事をスムーズに進める対価ととらえていただけるとありがたいです。
大した仕事していないのに高額、と思われたら、それは、専門家だから簡単に済んだ様に見えたという事です。(普通電車より新幹線の方が料金が高いのと同じです)
業務の報酬については、事務所の方針や業務の内容(調査の有無、助言・提案の有無、紛争性の有無等色々な要素があります)によって千差万別なので、ご自身が求める業務内容と報酬を比較検討して依頼先を決めることをお勧めします。  

Q 20年以上内縁関係にあるのですが、相続権はありますか?

A 内縁の夫婦には、相続権はありません。

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内縁関係の夫婦には、離婚時に関する規定は夫婦関係に準じますが、相続に関しては適用がなく、内縁の夫婦には相続権はありません。 
内縁の場合は、生前に贈与しておくか、または遺言書によって「遺贈」することで財産を残すことが出来ます。

Q 公正証書遺言を作成すれば、公証役場が相続の手続をしてくれるのですか?

A 公証役場は遺言書を保管しますが、遺言執行は行いません

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遺言を公正証書にて作成した場合、その遺言は公証役場に保管されますが、遺言書の内容の執行まで行ってくれる訳ではありません。
遺言書にて定めた遺言執行者か、定めてなければ相続人が手続を行います。  

Q 遺産分割サポートは誰に頼めば良いのですか?

A 弁護士、行政書士、司法書士等が取り扱っています。

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法律と言えば弁護士が一般的なイメージだと思いますが、弁護士でなくても遺産分割のお手伝いをする事は出来ます。 


弁護士

法律の全てを扱えるのが弁護士です。
遺産分割が紛争状態にある場合は弁護士に一任しましょう。
(金額によっては司法書士も可)

行政書士

行政書士が行う遺産分割のお手伝いは、あくまで伝達型、調整型となります。
誰かの代理として他者と交渉するのでなく、相続人全員のために中立的な立場をとります。よって、既に協議がこじれており紛争状態にあるケースは取り扱いが出来ません。
弁護士に依頼すべきでしょう。 


司法書士

また「遺言書がある」「既に遺産分割の内容は決まっている」等、不動産の名義変更等が主な業務なら、司法書士が適していると思います。 


税理士

財産が多く相続税が発生するケースでは税理士に依頼するという方法もあります。 

   

相続の形態や事情に応じてお選び下さい。 

   

誰に頼めば良いか分からないという場合でも、お気軽にお問い合わせください。 

相続の内容を伺ったうえで最適な方法を提案いたします。 


弁護士と比べて比較的安価な行政書士や司法書士へ相談してみてはいかがでしょう。